不動産の名義確認や売却のご相談の中で、意外と多いのが、
「ローンはとっくに返し終わっているのに、抵当権が残っている」
というケースです。
特に相続をきっかけに登記簿を確認したところ、
数十年前の抵当権がそのまま残っていた
というご相談は珍しくありません。
今回は、古い抵当権が残っている場合の対応方法と、
供託による抵当権抹消についても触れながら解説します。
■ 抵当権は完済しても自動では消えません
住宅ローンなどを完済しても、登記上の抵当権は自動では抹消されません。
抹消するには、別途「抵当権抹消登記」の申請が必要です。
そのため、
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完済後に手続きをしていない
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書類を紛失している
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相続を挟んでいる
といった場合、抵当権だけが長年残ってしまうことがあります。
■ 通常の抵当権抹消ができるケース
通常は、金融機関等の債権者から交付される次の書類を用いて抹消登記を行います。
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弁済証書、解除証書等
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登記識別情報または登記済証
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委任状
金融機関が現存し、書類もそろう場合は、比較的スムーズに抹消できます。
■ 問題になりやすいケース
古い抵当権では、次のような事情が重なることがあります。
・金融機関がすでに存在しない
合併や廃業により、当時の金融機関がそのままでは存在しないケースがあります。
・抹消書類が見当たらない
相続を挟んでいる場合など、必要書類が一切残っていないこともあります。
・債権者と連絡が取れない
古い個人間の抵当権などでは、債権者の所在が不明になっているケースもあります。
このような場合、通常の抹消手続きが取れないことがあります。
■ 供託による抵当権抹消という方法
通常の方法で抹消できない場合、
状況によっては供託を利用した抵当権抹消を検討することがあります。
これは、
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債権者の所在が不明
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弁済提供をしても手続きが進まない
といった場合に、一定の要件のもとで供託を行い、
その上で抵当権抹消登記を申請する方法です。
■ 供託抹消を検討する典型例
実務上、次のようなケースで問題になることがあります。
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債権者がすでに死亡している
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個人間の古い抵当権
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金融機関の資料が残っていない
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連絡を取る手段がない
ただし、供託を用いることができるかどうかは、
事案ごとの法的整理が非常に重要になります。
■ 注意点(ここが実務上重要です)
供託による抹消は、万能な手続きではありません。
特に次の点は慎重な判断が必要です。
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被担保債権が本当に消滅しているか
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弁済期の到来や時効の状況
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供託原因の適否
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必要書類の整備
■ まずは登記簿の確認から
古い抵当権の問題は、
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普段は支障が見えにくい
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しかし売却直前に発覚すると大きく影響する
という特徴があります。
相続や売却を予定している不動産については、
早めに登記記録を確認しておくことをおすすめします。
■ 司法書士がサポートできること
当事務所では、
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登記記録の調査
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抹消書類の有無の確認
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承継金融機関の調査
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供託手続きの要否判断
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抵当権抹消登記の申請代理
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相続登記との一体的対応
など、事案に応じたサポートを行っております。
「かなり昔の抵当権が残っている」
「書類が何も見当たらない」
といった場合でも、まずはお気軽にご相談ください。
■ まとめ
抵当権は、ローン完済後も登記をしなければ残り続けます。
特に古い抵当権は、通常の方法では抹消できないケースもあります。
供託による方法を含め、事案に応じた適切な対応を検討することが重要です。
気になる不動産がある場合は、早めの確認をおすすめいたします。
不動産登記に関するご相談は、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。